経済ジャーナリストの荻原博子さんが、お金に関するお得な情報をわかりやすく解説する新連載「トクする!荻原博子のマネーNEWS」。今回は「〈2024年問題〉で宅配がピンチ!」です(イラスト:さかがわ成美)
「2024年問題」で宅配がピンチ!
宅配便といえば、「今日出せば、明日には届く」のが今までは普通でした。けれどこれからは、配達日が遅れ、料金の値上げも起きます。その背景にあるのは、物流の「2024年問題」です。
安倍政権時代の「働き方改革」で、時間外労働の上限規制が始まりました。大企業では2019年4月から、中小企業では20年4月から適用されています。しかし、自動車運転業務や建設事業、医師などについては、すぐに変えると影響が大きすぎるということで、5年間の猶予期間が設定されました。
それが終了するのが、24年4月1日。来年から、ドライバーの年間時間外労働の上限が1176時間から960時間に制限されます。
いっぽうで、物流業界は慢性的な人手不足。労働時間が規制されると、運転手不足に残業規制が重なり、物流が立ち行かなくなるのではないかと心配されています。
そのため、野村総合研究所の試算では、25年には全国の荷物の約28%、30年には約35%が運べなくなるのではと推計しています。
加えて、化石燃料の価格上昇などによってガソリン代が高騰し、運送にかかるコストがかなり上がってしまっています。ですから、どの運送会社もすでに料金を引き上げざるをえない状況に追い込まれているのです。またコロナ禍で、ネット通販などを利用する人が増えたこともあって、さらに悪化しそう。