家族と過ごす時間に救われる
30代になってからは、夜、お酒を飲みに出かけることもほとんどなくなりました。役者はやっぱり体が資本ですから、基本的には早寝早起きで健康的なライフスタイルが大事ですよね。とはいえ、これといって何か特別なことをしているわけではありません。時間のあるときにランニングをしたり、体が重いなと感じたら、汗をかいて運動したりする程度です。
実は、もともと無趣味で、オンとオフの切り替えがめちゃくちゃ下手なタイプなんですよ。独身時代は、家にいても仕事のことが頭からずっと離れなくて。それが、家庭を持って、家族と過ごす時間が生まれたおかげで、ずいぶん救われるようになりました。それでも、ぜんぜんオフれてないことも多いんですけどね。(笑)
子どもができたことも大きいです。子どもという存在が、いい意味で、僕の堅苦しい考え方をほぐしてくれると言いますか。悩みやすい性格は相変わらずですけど、いったん自分のことはまあいいかっと。誰かのために生きようと思えたことで、今まで気にしていたことが気にならなくなりました。それまでわからなかった感情も実感できるようになりました。子どもが生まれた直後に、ドラマで父親役をやらせていただいたときも、それまでとは感情の込め方がぜんぜん違いました。
もちろん、生活が大きく変わったことで、仕事のギアが入りにくくなったと悩んだときもありました。自分自身に費やす時間が減った分、それまでと比べてお芝居に影響が出てないかなと。
でも、先日、たまたま吉田鋼太郎さんにお会いしたときにその話をしたら、「役者が家庭を持ったら、誰でもそう感じることがある。でも、間違いなく大切な経験をしている時期だから、マイナスにはならないよ」とおっしゃってくださって。その言葉を聞いて、気持ちがちょっとラクになりました。
父親としても、役者としてもまだまだこれからですが、この先、40代、50代と年齢を重ねていく上で、僕が理想としているのは「求められる人」。仕事の上でも、1人の人間としても、常に求められ続ける存在でいるために、ここからさらに頑張って、自分を磨いていきたいと思っています。