人の話を聞けるカッコイイ大人に

師匠の深見千三郎役を演じる山本耕史さんは、お会いした瞬間に「カッコイイ!」と感じるような方です。誰に対してもオープンで、見栄を張ったり、カッコをつけることがいっさいない。

周囲に対する気配りも本当にスマートで、こういう方が「素敵な大人の男性」なんだなと思います。本読みが始まる直前まで、ご自分の役について突き詰めて考えていらっしゃる姿勢をみて、この期間で山本さんから様々なことを学びたいと思いました。

「このお芝居、面白いに決まっているじゃん!」と確信が持てるので、僕自身のプレッシャーをかき消してくれている

僕も30代になったので、山本さんのように決して偉ぶらない大人になるのが理想です。いつどんな相手に対しても優しく接することが出来る人。たとえ自分の考えと違っても、他人の価値観を簡単に否定しない。年齢を重ねるにつれ、そんな器の大きい人がカッコいいと思うようになりました。

というのも、あまり言いたくはないんですけど(笑)、20代の頃の僕は他人と自分を比べてしまうことがめちゃくちゃあって。同世代の俳優さんに対するライバル心が強かったんです。確かに、それが原動力になっていたところもありますが、人と自分を比べることに常に悩まされていました。

役者仲間と飲みに行き、お互いの演劇論をぶつけあってケンカをすることもありました。お酒の場だと、普段言えないような思いを吐き出せると言いますか。でも、後で考えると、「ああ、言わなきゃよかった」と後悔することのほうが多くて…。

でも決して無駄な時間ではなかったと思うので、20代の頃に、そんな生活を散々やり尽くしたおかげもあり、30代になったタイミングで生活や考え方を改められるようになったと思います。今の僕は、役者としても、一人の人間としても、人の話を柔軟に聞ける大人でありたいと心がけるようにしています。