子どもたちに自分の状況と想いを率直に伝えて
ーーー書籍の執筆にのめり込む以前、伊澤さんはお子さんと多くの時間を共に過ごしてきた。しかし、執筆中は遊ぶ時間を取ることも難しく、そのことでお子さんからさまざまな訴えがあったという。そんな状況において、伊澤さんが心がけていたこととは。
子どもたちには、当時の自分の状況をすべて伝えていました。「お母さんは今こういうことをしていて、こんなことを考えながら書いている。本の発売日が決まって本が出せたら、それ以降はちゃんと今まで通りの生活に戻るからね」と。
“まだ幼稚園生で小さいから話してもわからない”と諦めるのではなく、伝えることが大切だと思ったんです。そうしないと、子どもたちは何が起きているのかわからなくて余計に不安がられるので。
でも書籍刊行後も、インタビューやら授賞式やらで忙しいのは変わらず、「終わんないじゃん!」と言われたりしているのですが(笑)。
それでも、本屋さんに行くとノンフィクションコーナーに一直線に向かっていって、「ママの本あったよー!」と喜んでくれて。“あの日々はこのためにあったんだ”と、子どもたちにも見える形にできたのはよかった。
私は子どもと同性の親ほど、その影響が大きいと考えています。そのため娘に「働いている母の背中を見せたい」という想いもありました。
私の授賞式のスピーチを娘が満足気に見ていた、という話を聞いた時は嬉しかったです。息子もすごく大きな拍手をしてくれて、両足まで打ち鳴らして場を盛り上げてくれたそうで。
子どもたちにとって私の執筆期間は辛かったと思うけど、同時に何かしらを得てくれたのではないか、とも感じています。