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独身、フリーランス。世間から「大丈夫?」と思われがちな40代の小林久乃さんが綴る「雑」で「脱力」系のゆるーいコラム。読んでいるうちに、心も気持ちも楽に軽くなる……。ただ「手抜き」のテクニックを勧めるだけではなく、年齢を重ねたことで得た「脱力」による省エネによって、次へのエネルギーを担保していこう! というのが、本企画の主旨。 第3回は「あれ?と思ったらS N Sは即ミュート」です。

その「いいね!」は強制?媚び? 

数年前に『凪のお暇』(TBS系列・2019年)というドラマが放送された。周囲のありとあらゆる人間に気遣いをしまくって、本来の自分を殺して“明るい素敵な女性”を演じていた凪(黒木華)。

ついにはストレスで倒れて、退社。自慢だったはずの恋人とも別れて、本来の自分を取り戻していく物語だった。

ドラマの中で、とても印象的なシーンがある。
虚像の人格が、爆破寸前を迎えていた凪。それでも毎日、同僚のインスタグラムを必ずチェック。「いいね!」のタップはもちろん、ストーリーズに足跡をつけて、スタンプを必死に送っていた。

そうしないと、明日からの同僚との関係性についていけないという。これは強制なのだろうか? それとも媚びなのだろうか? そもそもこれはドラマの世界の話なのか? 喉にいつまでも引っかかった小骨のように、気になってしまう。

そんな私にこれらが現実だと知る機会が訪れる。

2022年に『45cmの距離感』(WAVE出版)というエッセイを書いた。さんざん人間関係の距離感で苦労をしてきた私によるエピソードや、解決策を並べている。

発売当時からしばらくの間、多くの読者からSNSにDMをもらった(誹謗中傷、ご意見も含む)。詳細は割愛するけれど、一番目立った悩みは「SNSによる人間関係がしんどい」というもの。

「上司がウザく、フォローはしなくてはいけない風潮が面倒だ」

「友人のフォローを外したい」

「グループを抜けると友達が減る」

「なんだか投稿することが義務みたいで……でもやめられない」

凪がドラマで披露していたことは、現実だった。大量で全てに返信はできなかったけれど、(失礼ながら)この場をお借りして、一斉返信をするのなら……

「とりあえず、相手のミュートボタンをタップしましょう」

としたい。

集団行動が苦手で、のほほん自由業の私ではあるけれど、妬み、嫉みと、人並みにS N Sの生き苦しさは感じたことがある。その経験から編み出した、ミュートの使用方法について、あれこれと綴ろう。