あなたは一日何時間、スマホ画面を見ているのか
「フォローしている友達をミュートする? 無理無理っ!」
DMをくれた読者の声が聞こえてくるようだ。実は大昔、私も凪ほどではないけれど「いい人でいなければ」という呪縛の中にいた。
例えば友人の集まりや旅行には、率先して幹事の役割を担う。ガラケーの電話帳には仕事以外で600人近く登録があって、誕生日には0時になると全員におめでとうメールを送っていた。
そして自分の誕生日には数十人の友人、知人を集めて「みんな今日はありがとう〜!」と、大パーティー。今思い返すと、コミュニケーションの呪縛に襲われていた。
その後も呪縛は順調に続き、ミクシィからスタートをしたS N S交流が始まった。ここでも友達を増やそうと躍起になったり、他人の自慢投稿を見てヤキモキしたり。そんな心の裏のドロドロは見せず、相変わらずいい人でいた。
その間にもS N Sの種類はどんどん増えて、進化していく。そしていつの間にか年齢だけが積み重なって、40代も半ばに差しかかった頃。自身のS N S疲れに気づいた。
一日中、スマホの通知ばかりを気にしている自分に嫌気が差した。「ああ、タイムラインばかりを見ていた時間、もったいないわ」という結論に辿り着く。
自分もどれだけスマホを見ているのか、一度確認してみてほしい(iPhoneであれば設定→スクリーンタイム)。
平均的にはどんなものだろうと、検索エンジンでチェックすると、約3時間46分が閲覧時間だという。さっ……3時間……、それだけあれば読書、ドラマ鑑賞、外食、料理と数限りなく消化できることがある。
「何やってんだ、私。もっと時間を大事にしないと」
スマホ、及びS N Sとの付き合い方を変えようと、まずは価値観を変えた。それまでは私にとってSNSも大事な人間関係の延長線であり、時には自分だって主役になれるようなスペースというもの。
だからいい人の殻は破ることができなかった。これらを「SNSはあくまでも有象無象の世界」と、気持ちをすり替えた。この場で揉めようが、燃えようが大したことはない。情報番組で人気の学者がこうも言っていた。
「S N Sでの炎上がきっかけになって、人生が狂うことはない。SNSが目立つので、一般的には驚異として扱われるけれど、実際は違う。狂う原因はあくまでも事実に基づく」
なるほど、と腹落ち。スキャンダルや横領で人生を落としていく人たちは、S N S場外でしでかした事実が全ての引き金。その拡散方法としてSNSがあるだけなのだ。
では何が大事なのかと考えを進めていくと、人間関係で大事なのは、直接会うことと話すことだと気づいた。
ついオンラインの便利さにかまけてしまうけれど、人と人の間にある雑談は確実に何かを生むし、私の仕事の種はいつも雑談から始まっているようなもの。そんな理由からSNSは“人間関係のセカンドスペース”と認識するようになった。