役者の芝居で見せる映画
映画では、みはるが出家して剃髪するシーンは、一発撮りでした。事前に、私と同じぐらいの髪の長さのスタッフがリハーサルを行いカメラアングルを決めて、そのあとに私が座って、本番が始まりました。ここまで髪を短くしたことがないので、とてもさっぱりしました。
家族も、「頭の形が良くて良かったね」と言ってくれて。ただ、眞秀は最初ちょっと抵抗していたんです。でも、撮影後少しずつ髪が伸びてきて「お母さんちょっと色を入れようかな?」と言ったら、「赤色がいいー!」と言って、意外にも楽しむようになりました。
時々、光栄なことに、出演した作品で何かしらの賞をいただくこともありますが、演技をするうえでのプレッシャーは感じません。今回も撮影は終えましたが、頑張ったぶんご褒美は欲しいなとは思うものの、それより、『あちらにいる鬼』のスタッフさんたちが受賞してくれたらうれしいですね。
今作では、登場人物の人生にドラマチックなことがたくさん起こっているのに、あえてドラマチックに映していないところもオススメしたいです。どのような出来事もすべて、淡々と映し出しているから、観る人を「試している」感じがしますね。全編、極力いろいろなものを削ぎ落としている。劇中の効果音で色をつけるよりも、役者の芝居で見せる、という映画だと感じています。
今回、脱ぐシーンもありますが、以前と違ってさすがに母(富司純子さん)も何も言わないかな。昔から激しい描写のある作品に出るのは反対されていて、2015年に出演した舞台『禁断の裸体』で全裸で演じた時には、母から、「あなたペチャパイだからあんまり出さないほうがいいわよ」って、言われました(笑)。私も「ペチャパイとか関係ないって監督が言ってた!」と言い返して、変な喧嘩になりましたね。(笑)