撮影◎森武志
2023年10月8日に逝去された歌手の谷村新司さん。長年にわたり音楽業界を牽引した谷村さんを偲び、訃報が報じられた16日以降、国内外を問わず悼む声が広がっています。「冬の稲妻」「チャンピオン」などのヒット曲を次々と送り出し、1970年代の音楽シーンを駆け抜けたアリスとしての活躍。81年に活動停止後も、87年に再開。2013年には26年振りにアルバムをリリースするなど、60代を迎えても新たなチャレンジを続けていた彼らの姿に勇気づけられた人は多いはず。2013年当時、彼らに行ったインタビュー(『婦人公論』2013年5月7日)記事を掲載します。
(構成◎村上雅子 撮影◎森武志)

原点に戻って

堀内 3年ぶりのライブツアーだね。前回のツアー(2009年7~11月)で3人とも還暦を迎えたけど、あの時「60歳過ぎてもこんなに頑張れるんだ」と味をしめちゃったから、また全国を回ることになった。(笑)

谷村 みんな元気でエネルギーがあるうちに、もう1回ツアーをやりたいって空気感があったしね。だけど、今度は3人合わせて190歳だ。(笑)

堀内 しかも前回36会場だったのが、今回はそれを上回る50会場だよ。

矢沢 さらに! 47都道府県全部を回る。アリスとして、1度のツアーで全都道府県を回るなんてデビュー以来初めてのことだよね。

谷村 でも、もともとアリスと言えば旅回りで、テレビに出てメジャーになる前は一年中地方を回っていた。

矢沢 結成3年目には、年間303公演達成という記録も作ったし。

谷村 今年は原点に戻って、僕ららしく全国を駆け回ろうってことでね。

堀内 還暦過ぎて、20代の時にやった以上のことに挑戦するわけだ。

矢沢 自分たちでどんどんハードルを上げてるって、僕らMなのかな(笑)。今回のツアースケジュールを見て、周りの人たちが「こんなにハードで大丈夫?」と言うけど、前回のツアーでも全然疲れなかったし。今回も元気なことを証明してみせる。

堀内 確かに、1人でこれだけのことをやれと言われたらこたえるけど、3人だから力を3等分できるところがある。何かあれば2人が助けてくれるという安心感もあるし。

矢沢 「今日はどうもベーヤン(堀内)が疲れてるみたいだから、チンペイさん(谷村)と僕で頑張ろう」……とか言い合っても、結局はベーヤンも頑張っちゃうから、支えるという気持ちだけなんだけど。(笑)

堀内 いやいや、頼ってますよ。MCも3人だと、気分的に本当に楽です。

谷村 確かに、そうだよね。