(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第59回は「大人になってからの〈学び〉」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)

前回「スマホの「思い出機能」が出してきた写真に、殿様のような格好の私がいた。4年前の「国民文化祭・にいがた2019」のこと」はこちら

「大人になってからの〈学び〉」

先日、素敵な筆文字のハガキを頂きました。
達筆な文字の最初には「冠省」という見たこともない文字がありました。
結語は「不一」とこれまた見たことのない結語です。

 早速調べてみました。
「冠省(かんしょう)」は略式の手紙に用いられる前文を省略するという意味だそうです。
結びは「早々」「不一」などが使われるようです。
「不一(ふいつ)」は十分に手紙の本文に書ききれていないという意味だそうです。

メールにはない手紙の中で生きている言葉。
そんな言葉に心惹かれるのは、私もそれなりの年齢になったからでしょうか。
かと言って、このようなきちんとした手紙を書くことはなかなかないですが、
知っておきたい言葉です。

形式にこだわらずとも、時候の挨拶、敬語の使い方は気をつけています。
相手の心に届く温かい言葉選びは、頂いた手紙に学ばせてもらっています。

そして、前文、結語のある手紙を書かれる達筆な方々に共通して言えることが、
自分の名前の最後に「拝」を付けるところです。
ちょっと憧れます。
越乃リュウ拝 に。
いつか達筆な筆文字で、越乃リュウ拝が使える賢さを身につけたいというのが私の夢です。
美しい日本語と達筆な筆文字を身につけることを目標に、
時間を見つけては習字教室に通っています。

書の時間。先生のお手本には程遠い「踊」