青木さやかさんの連載「50歳、おんな、今日のところは『……』として」――。青木さんが、50歳の今だからこそ綴れるエッセイは、母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、初めてがんに罹患していたことを明かしたエッセイ「突然のがん告知。1人で受け止めた私が、入院前に片づけた6つのこと」が話題になりました。
今回は「社会の上下関係におけるタブーに気づいたもの」です。
今回は「社会の上下関係におけるタブーに気づいたもの」です。
破ってはならないタブーと思ってたこと
誰かがテレビで言っていたことが心に響いた。たぶんこのようなことだ。
[事実は一つかもしれないが捉え方はそれぞれだ。特に社会的地位を持ってしまった場合、相手が『はい』と言ってしまう状況を自分が作っていることに気づくことは大切だと思う]
わたしが部下の立場で考えてみると、自身が腑に落ちていないことや笑えないことを言われた時「いいえ、そうは思いません」と返せただろうか。冗談ぽくは言えたかもしれない。だけど本気で言っていると感じ取られたら、嫌われるのではないか、仕事をやりづらくなるのではないか、ヤバいやつ認定されるのではないか、と体と心のセンサーを懸命に働かせながら立ち回っていたように思う。
だけど、これって、自身の生活に影響がある上司に好かれようと頑張るわけだから、当たり前の処世術ではなかろうか。
だって、どんなに傷ついた時も「嫌なこと嫌」って言ってはならないんですよね。タブーってあるんですよね。それを破る者は追放ですもんね。(と、今も思い込んでいる節がある)