撮影:小林ばく
日本語、英語、ミャンマー語の3カ国語を操る俳優・森崎ウィンさん。ハリウッド映画の主要キャストに抜擢されたことが大きな転機になったそうでーー(撮影=小林ばく 取材・文=婦人公論編集部)

大きな名刺にふさわしい自分に

スピルバーグ監督の作品『レディ・プレイヤー1』(2018年公開)への出演以前と以後では、僕の世界はまったく変わりました。この間、ある方に「大きな名刺をもらえたね」と言っていただいたのですが、その通りです。ただその名刺が大きすぎて、ふさわしい自分にまだ到達できていません。スピルバーグ監督の顔に泥をぬらないようなエンターテイナーにならなきゃな、と感じています。

一つ一つの作品への向き合い方も変わりました。以前の僕には貪欲さが足りなかった。現在公開中の映画『蜜蜂と遠雷』では、天才ピアニストのマサルを演じています。出演が決まってから、ピアノに向き合う時間をなるべく作りました。ヤマハ音楽教室にも通ったんですよ。プロのピアニストはどんな壁を越えてきた人たちなのか、少しでも彼らの気持ちを辿りたかったから。

僕はミャンマーのヤンゴン育ちです。両親は日本で働いていたので、小さい頃は祖母と暮らしていました。小学4年生の時に、両親のいる日本へ。挨拶程度の日本語力で、公立の小学校に入りましたから、最初は大変でしたね。

今、僕は「トリリンガル」と言われますが、英語はまだまだ勉強中です。ミャンマー語のほうも……現地では、「たどたどしいミャンマー語がいい」とウケているらしいんですよね(笑)。今度、故郷の連ドラに出演することになったから、ミャンマー語を仕上げなければ。また試練来た! と楽しんでいます。