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昨年は、モトザワ自身が、老後の家を買えるのか、体当たりの体験ルポを書きました。その連載がこのほど、『老後の家がありません』(中央公論新社)として発売されました!(パチパチ) 57歳(もう58歳になっちゃいましたが)、フリーランス、夫なし、子なし、低収入、という悪条件でも、マンションが買えるのか? ローンはつきそうだ――という話でしたが、では、ほかの同世代の女性たちはどうしているのでしょう。「老後の住まい問題」について、1人ずつ聞き取って、ご紹介していきます。

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老親の面倒を見ながら、自身は難病

いまのアラ還は、バブルを知っている世代です。社会人になった頃、ちょうど世の中はバブルに浮かれていました。20代は合コンに明け暮れ、華やかな日々を過ごした女性も少なくないでしょう。当時は「良い学校、良い会社」という法則がリアルにあって、ひとたび良い職場に就職さえできれば、安定した老後が約束されたものです。

ところがこの40年間に社会は激変。競争激化によるリストラなどで、約束されていた「安定した老後」が夢と消えた業種や会社もあります。生き残った企業でも、社員は、より高い生産性や新たなスキルを求められてきました。とはいえ、定収が得られる仕事があって、定年まで安定して働けるのはごく一部のラッキーな人だけ。

「正社員だし、実家は持ち家だし、自分でも恵まれていると思うんです」と話すのは、実家暮らしの会社員、真梨枝さん(仮名、62)です。ただし懸念もあります。同居の老親の面倒を見ながら、自身は難病で、生涯、通院し続ける身の上なのです。

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真梨枝さんは実家で、父(92)と母(89)の3人暮らしです。少し前までは、「65歳になったら、実家を売ってサ高住に入る」と、豪語していました。サ高住なら、もしもの時の安否確認はしてくれますし、食事などのサービスも(有料ですが)提供されます。2階建ての実家の維持管理が大変そうなのも理由の一つでした。