経済ジャーナリストの荻原博子さんが、お金に関するお得な情報をわかりやすく解説する新連載「トクする!荻原博子のマネーNEWS」。今回は「新たな詐欺が横行しています!」です(イラスト:さかがわ成美)

新たな詐欺が横行しています!

マイナンバーカードを使った、新手の特殊詐欺が出てきています。

今年1月に起きた事件の被害者は、北海道に住む70代の女性。総務省総合通信局の職員や警察官を名乗る男性から、「あなたの口座の個人情報が流出したようなので調査しています」という電話を受け、驚いて指示されるままにスマホのビデオ通話でマイナンバーカードを見せたのです。

詐欺師は、このカードの画像を取り込み、それをもとに本人になりすましてネット銀行の口座を開設したと思われます。

女性は、「個人情報が盗まれているので、あなたの銀行口座は凍結されます。すぐにこちらで用意した安全なあなた名義の口座に預金を移し替えてください」と電話で指示され、自分の口座にあった現金1400万円を、この偽口座に振り込んでしまいました。

いま金融機関は、詐欺被害を防ぐために高額振込には目を光らせています。昨年、銀行やコンビニで特殊詐欺被害を防いだ件数は約2万2000件、総額約72億円でした。

ところが、振込先が本人名義の口座だと、振込ではなく個人的な資金移動ということでチェックしにくい。犯人からすれば、金融機関の監視を潜り抜けやすいだけでなく、「受け子」に現金を取りに行かせて足がつくリスクも減るので、こういった手口が急増中です。