「更年期以降は、それまで守ってくれていた女性ホルモンがなくなるので、意識して自分の体を管理してほしい」と宮尾先生(写真はイメージ/写真提供:photo AC)
2024年上半期(1月~6月)に『婦人公論.jp』で大きな反響を得た記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2024年06月18日)


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高齢者や女性の健康をサポートする外来で日々診療を行う宮尾益理子先生は、「更年期以降は、それまで守ってくれていた女性ホルモンがなくなるので、意識して自分の体を管理してほしい」と話します。どんな不調が表れ、どう対処すべきかを聞きました(構成=山田真理 イラスト=こやまもえ)

本当の試練は更年期を過ぎてから

私は都内のクリニックで老年医学をベースに、糖尿病、内分泌代謝、骨粗しょう症などさまざまな専門領域で診療を行っています。

年齢を重ねると、複数の不調を同時に抱えることが多くなり、筋力の衰えや認知機能の低下といった特有の現象も起こりがちです。そのため老年医学では患者さんを多方面から診断し、この先起こりそうなリスクも想定しながら治療・予防策を考えることを重要視します。

もうひとつ私が力を入れているのが、男女の違いに注目した「性差医療」。女性は初潮から閉経までの約40年間、月経周期に合わせて体調が変化し、特に更年期にはホルモンバランスの乱れから心身にさまざまな不調が起こります。

閉経後は女性ホルモンの枯渇によってさらなる不調や病気に見舞われることに。このように、女性の心と体は、一生を通じてホルモンの影響を強く受けているのです。

ひと昔前は、更年期後の人生は比較的短いものでしたが、現代人は寿命が延び、閉経後の期間が長くなりました。女性の平均寿命は87.09歳(2022年厚生労働省調べ)ですが、実は亡くなる人がいちばん多いのは93歳というデータも。つまり、閉経後40年近くも、女性ホルモンのない状態で過ごすのです。