世界の美術工芸品を収集しているイギリスのヴィクトリア&アルバート博物館(以下、V&A)。その東洋部に、2021年11月、編み物作家・伊藤浩子さんの「もみじの舞」と「竹林」の2作品が手編み作品として初めて収蔵された。その快挙については本誌22年3月号でも紹介した通り。
24年7月、いよいよ東洋部にて「もみじの舞」の一般公開が始まった。作者の伊藤さんは展示にあわせ、16人の教え子とともにV&Aを訪問。50代から93歳まで、平均年齢75歳のツアーとなった。
「これまで生徒さんたちとたくさんの国を旅してきましたが、92歳という私の年齢を考えると、これが最後の海外訪問になるかもしれない。そんな思いもあり、ぜひこの目で私の作品が展示されているところを見たいと思ったのです。
V&Aは長い歴史のある素晴らしい博物館ですが、東洋部門での編み物の収蔵は初めてのこと。それが私の作品であることに改めて感動し、涙が止まりませんでした」