イラスト:めぐろみよ
特殊な縞模様「ガボール・パッチ」を使った今話題の視力回復トレーニングを日本に紹介した眼科医・平松類さんが伝授します。老眼・近視だけではなく、認知症予防にも効果アリ!(構成=山田真理 イラスト=めぐろみよ)

縞模様でなぜ、視力が向上するのか

老眼は、水晶体の調節機能が衰えてピントが合う範囲が狭くなる老化現象。近い距離の物からだんだん見えにくくなり、日常生活に影響を与えます。40~50代にかけて症状が表れるため、現代の長寿社会では人生の半分以上を老眼とつき合うことに。

視覚は聴覚と並んで、外からの情報を脳に届ける大切な役割があります。その能力が衰えると脳に十分な刺激が与えられず、いずれは認知機能の低下にもつながってしまいます。

老眼鏡やコンタクト、また、症状が進行した場合には手術などの対策もありますが、もっと気軽に取り組める方法として私が紹介しているのが、「ガボール・アイ」。ガボール・パッチと呼ばれる特殊な縞模様を使った、視力回復トレーニングです。

ガボール・パッチは、ノーベル物理学賞を受賞したD・ガボール博士考案の、特殊な数学的処理が施された模様。これは、見ることを司る脳の「視覚野」を刺激することがわかっています。複数の海外研究機関が近視と老眼の視力回復に効果があることを確かめました。

なぜ、脳を刺激することで視力が上がるのでしょうか。視力は、眼球と脳の2つの働きで決まります。それは眼球で捉えた情報を脳で処理することで、見えたものを認識しているため。見えた情報を処理する脳を鍛えるのが、この縞模様なのです。

やり方はとても簡単。微妙に形の違う模様が並ぶ絵の中から、同じ縞模様を選び出します。一つ一つの図形をじっくりと見て、どういう形か認識することが重要です。

目の老化現象に関連して、ここ数年、高齢者の交通事故が問題になっています。これは「有効視野」という、物を判別できる範囲が年齢とともに狭まることが大きな原因といわれます。ガボール・アイには、この有効視野を広げる効果も。やり方を参考にして取り組んでみてください。