「人生100年時代」といわれるなか、老後のお金が心配な方も多いのではないでしょうか。40万人以上の資産運用に関わってきたお金のプロ、ウェルスナビ代表取締役CEOの柴山和久さんは、「何歳までお金が必要になるのかは誰にもわからないからこそ、資産運用を続けて、お金の心配を減らすことが重要」と話します。そこで今回は、柴山さんの著書『新しいNISA投資の思考法 お金の悩みから解放される 正しい「長期・積立・分散」のはじめ方』より一部を抜粋してお届けします。
2000万円問題以降の高齢世帯のデータから読み解けること
実際に、老後2000万円問題が報道されて以降、平均値を見ると収入が徐々に増えています。次の図は、「老後2000万円問題」報告書で取り上げられたモデルケース以降、同じ条件で高齢世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯)の収入と支出をまとめたものです。左側の2017年の数字は、2000万円問題の年と同じものです。

<『新しいNISA投資の思考法 お金の悩みから解放される 正しい「長期・積立・分散」のはじめ方』より>
2000万円問題の2017年の時点では月5.5万円の赤字だったのが、直近の2022年には半分以下の2.6万円の赤字に減っています。これはなぜでしょうか。
収入と支出をよく見ると、1カ月の支出はほとんど変わっていませんが、収入が徐々に増えています(ちなみに、2020年には、新型コロナウイルスの流行によって支出を減らした人が多いと思われる一方で、給付金が支払われたため、一時的に収支の差がほとんどなくなっています)。年金がほとんどを占めるはずの収入が、なぜ増えたのでしょうか。
この期間に年金を大幅に増やすような制度改正は行われていませんので、その理由は一つです。それは、65歳以上でも働き続けることを選択する方が増えたということです。