1989年に漫画家デビュー、その後、膠原病と闘いながら、作家・歌手・画家としても活動しているさかもと未明さんは、子どもの頃から大の映画好き。古今東西のさまざまな作品について、愛をこめて語りつくします!(写真・イラスト:筆者)
ハガキで届いた試写会の案内状
「この映画気になるけど、泣かされそうでやだな」。
ちょっと天邪鬼な私は、試写会の案内を見て興味を持ったけれど、躊躇した。とてもきれいな試写会の案内状。ネットの案内が一般化した最近では珍しく、ハガキできて…。
素敵な大人の女性となった原田知世が出演。その夫役が笑福亭鶴瓶。この2人が夫婦として出るなんて、まずすてき。しかも笑福亭鶴瓶が演じるのは、戦後のどさくさで教育を受けられず、字が読めないままに成長した青年・西畑保。その彼を受け入れて長年連れ添い2人の子どもをもうける妻・皎子(きょうこ)を、原田が演ずる。
主人公の妻である皎子の名前が珍しい漢字なのは、この映画が実在する夫婦の物語に基づいているからだ。原作の本があるわけではないが、字が読めなかった西畑保さんが、60歳の定年を折に「妻へのラブレターを書きたい」と奮起して夜間中学校に通い、数年かけ卒業。読み書きができるまでを映画は描く。
この実話は様々な媒体で取り上げられ、落語にもなったそうだがよくわかる。そして『時効警察』や『ドラゴン桜』等のテレビドラマを作り続けてきた監督・塚本連平が「映画化したい」と言うことで実現した。しかし、「この設定、最初から泣いちゃうの、決まりじゃん。ずるい!!」と思わずにいられなかった。暫く悩んでいたが、バインダーに挟んだ試写案内状が捨てられない。そして私は遂に試写会場に足を運んだ。

写真提供:さかもとさん(C)2025「35年目のラブレター」製作委員会