「私にもできるかも」と、これまで感じたことのない、心の動きが…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは愛知県の70代の方からのお便り。夫を亡くし、一人暮らしを始めた団地で、気の合う友人ができたそうで――。

2人だけのコンサート

カーテンの隙間から朝日がおはよう、と声をかけてくれる。目を開けがたいほどのまぶしさに負けないように、朝日と一緒に深呼吸する習慣を身につけました。今では一日の始まりは、自分が生きていると感じられる幸せな時間です。

8年前に夫を亡くし、子供も結婚してから、私は団地に居することにしました。世間でいう、おひとり様生活のスタートです。昔から自律神経失調症と、片頭痛に悩まされていたこともあり、ひとりになってからは、どんなに悲しく寂しい日々を過ごしてきたことか。

でもそんな暮らしの中で、新しいお友達ができました。私は75歳、あちらは81歳。「こんにちは」から始まり、立ち話をしただけですが、なんだか馬が合うように思い、ゆっくりと仲良しになりました。

ひとりになってから、毎日、日記を書いています。それを読み返すたびに私は、自分の生きる力のなさを思い知ります。ただ死ねないから生きているだけ、と思うことも。病気にも悩まされ、夢など考えたこともありません。