世間から「大丈夫?」と思われがちな生涯独身、フリーランス、40代の小林久乃さんが綴る“雑”で“脱力”系のゆるーいエッセイ。「人生、少しでもサボりたい」と常々考える小林さんの体験談の数々は、読んでいるうちに心も気持ちも軽くなるかもしれません。第54回は「大人ハグの必要性」です。
千明はよくハグをしていた
春ドラマの『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)が、先日大団円を迎えた。小泉今日子、中井貴一主演の大人による大人のためのドラマだ。もし「なにそれ知らない!」なんて人がいたら、大至急、FODで検索してほしい。日々、何かにモヤついていた自分に答えを見せてくれるはず。
第1シリーズからずっと見ていて、ふと「ああ、いいなあ」と思ったシーンがある。
最終回、テレビ局を定年退職後、会社設立をする新しい道を歩んだヒロインの吉野千明(小泉)。彼女はいつも仲間とハグをしていた。千明に恋をして師匠と慕う長倉万理子(内田有紀)は出会った頃から、ことあるごとにハグ。いや、ハグよりは千明が万理子をギュウギュウと抱きしめて、それに喜ぶ万理子……の図の方が正しい。
『続・続・最後から二番目の恋』の第8話で、千明の親友・荒木啓子(森口博子)が「自分は会社から必要とされていない、居場所がない。だから会社を辞める」と泣くシーンがあった。千明はまるで包み込むようにハグをしていた。女性の友人同士のハグ。私にはとても印象的なシーンに映った。
千明が明るく、姉御肌で人情味あるキャラクターだからこそ、ハグがよく似合うし、嫌味にもセクハラにもならない。でも最近、私はいつハグをしたっけ?