農林水産省によると、令和6年の基幹的農業従事者の平均年齢は69.2歳で、高齢化が進行しています。そのようななか、ジャーナリストの山口亮子さんは「すでに始まっている『大量離農』により、農業地図が大きく塗り替わろうとしている」と話します。そこで今回は、山口さんの著書『農業ビジネス』から、農業現場の実情と最新事例を一部ご紹介します。
ついにアイガモもロボットに
以前から有機稲作農家のあいだで取り組まれている「アイガモ農法」。アイガモのひなを水田に放して、雑草を食べてもらうほか、ひなが水をかいて濁らせることで光合成に必要な日光を遮ったり、種子を土に埋没させたりすることで、雑草を抑制する効果が期待できる農法です。
ただ、「ひながイタチやカラスといった天敵に捕食されるおそれがある」「まんべんなく除草してくれるとは限らない」「成長したアイガモの処分方法」といった課題があります。
それらを解決するのではと注目されているのが、「ヰセキ」ブランドで知られる井関農機株式会社(愛媛県松山市)が、2023年から販売を開始している自動抑草ロボットの「アイガモロボ」です。
水をかき混ぜて濁らせることで雑草の発生を抑えるなどの機能を持ち、有機稲作拡大の心強い味方になると期待されています。