
NHK連続テレビ小説『あんぱん』のヒロイン・朝田のぶを演じている、俳優の今田美桜さん。役をとおして昭和初期から戦前・戦後、平成を生きるなかで実感した、電気と暮らしのつながりなどについて電気事業連合会会長の林欣吾さんと語り合いました
サプライズで知ったオーディションの結果
林今田さんがヒロインを演じる朝ドラを毎朝欠かさず観ています。感動のあまり涙が溢れ、赤くなった目をなんとかしようと仕事前に慌てることもしばしばで。(笑)
今田貴重な朝のお時間に、ありがとうございます。『あんぱん』は2024年9月に高知県でクランクインして、今年の8月まで撮影が続きました。お話はいよいよ終盤ですが、最後まで楽しんでいただけると思います。
林ヒロインに決まったときは、どんなお気持ちでしたか?
今田最終オーディションまで進んだものの、正直、受かる自信はありませんでした。「もう一度、顔合わせをしたい」とNHKに呼ばれ、なんだろうと思って行ってみると、部屋の机の上にあんぱんが用意されていたんです。それを食べながらプロデューサーさんたちとお話をしていたら、スタッフの皆さんが突然クラッカーを鳴らし、「おめでとう!」とサプライズをしてくださって。とても驚きましたが、朝ドラのヒロインは俳優としてのひとつの夢でしたから、嬉しかったですね。
林ご両親も喜ばれたでしょう。
今田のぶ役に決まったのが23年の暮れで、記者発表は年明けの2月でした。それまで誰にも伝えてはいけないと言われていましたから、お正月に帰省した際、平静を装うのが大変で……(笑)。発表後すぐ母に電話をかけると、「朝ドラのヒロインって、いつも観ているあの朝ドラのヒロインってこと?」という感じで、最初はピンときていなかったようですが(笑)、「よかったね。頑張るんだよ」と背中を押してくれました。
林電気事業連合会のCMにご出演いただいている今田さんがヒロインを演じるというのは、私どもにとってもとても嬉しいことです。ところで、朝ドラは半年間、しかも週5日放送されるため、撮影の苦労も多かったのでは?
今田撮影が長期間にわたるだけでなく、1日に撮るシーンがすごく多いのも朝ドラならではかもしれません。あとは、「今日はこのセットのシーンをまとめて撮影する」ということがあります。たとえば、シーソーがある場所で学生時代ののぶを演じた後に、成長して先生になったのぶを演じ、次の日はまた学生時代に戻ったり……と、バラバラの時系列で撮影が進んでいくことも。そのため、ずっと先のエピソードも含め、10冊ぐらいの台本を抱えながら挑んだ時期もありました。
林それはすごいですね。ビジネスの世界では、まず計画を立てて、関係者で協議をした後に契約をし、事業を立ち上げる、といったように基本的に時系列で進めていきます。ですから、撮影シーンが行ったり来たりする俳優さんのお仕事は、とても真似できないと感じました(笑)。のぶさんといえば、走る姿も印象的です。
今田のぶのモデルであるやなせたかしさんの妻・暢さんは、「ハチキンおのぶ」「韋駄天おのぶ」とも呼ばれた、行動的で足の速い人でした。そういったこともあり、走るシーンはたくさんありましたね。着物に下駄で走るのは洋服とは勝手が違い、所作に苦労もしましたが、手の振り方ひとつでも、どうすればのぶらしくなるかなどを考える時間も楽しかったです。
林運動会のシーンでは、猛暑のなか40回くらい走ったとか。
今田そうですね。あの日は本当に暑くて……。でも私だけではなく、エキストラの皆さんや、重い機材を抱えたカメラマンさんたちも一緒に走ってくださるので、「頑張らないと」と思いました。そんなふうに、現場の一体感やチームワークが徐々に高まっていく空気を実感できたのも、私にとっては大きな財産です。