(『あんぱん』/(c)NHK)
今田美桜さんがヒロインを務める連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合/毎週月曜~土曜8時ほか)。子どもたちの人気者・アンパンマンを生み出したやなせたかしさんと、妻・暢さんの夫婦をモデルとした物語です。<柳井のぶ>を今田さん、<柳井嵩>を北村匠海さんが演じています。逆転しない正義を体現した『アンパンマン』を生み出した嵩とのぶの物語は26日放送された第130回で終わりを迎えました。最終回に登場した主要キャストはのぶと嵩の2人だけ。チーフ演出の柳川強さんに最終回に込めた思いを伺いました。(取材・文:婦人公論.jp編集部 油原聡子)

普通の夫婦の話として

<病気になり、入院したのぶ。嵩がお見舞いに行くと、アンパンマンのぬいぐるみに囲まれ、看護師と談笑していたのぶは『嵩さん待ちよったで』とほほえんだ。退院したのぶは、自宅で嵩と2人で過ごす。15分の放送時間中、自宅でのぶと嵩が語りあうシーンにおよそ8分を費やした>

中園さんはいろんなパターンの最終回を考えてくださいましたが、のぶと嵩が2人きりということは、最初から決まっていました。夫婦の話を描くことが、『あんぱん』のコンセプトだからです。アンパンマンを生み出したやなせたかしさんと暢さんの夫婦はちょっとした偉人夫婦。でも、「普通の夫婦の話」として結実することが大切だと感じていました。アンパンマンを生み出したこととは関係なく、夫婦として、パートナーとして、生きてきたし、この先もそうやって日常を生きていくということをちゃんと表現したかったんです。

のぶと嵩が並木道を歩いているラストシーンでは、今田さんと北村さんに「自由に話をしてください」と言いました。劇中、中目黒の家でよく食べたコロッケの話をしたり、「僕たちらしいね」と北村さんが話す声も聞こえてきたり。撮りながら、「極めて日常ベースでおしまいになるドラマだよな」と納得していました。