世間から「大丈夫?」と思われがちな生涯独身、フリーランス、40代の小林久乃さんが綴る“雑”で“脱力”系のゆるーいエッセイ。「人生、少しでもサボりたい」と常々考える小林さんの体験談の数々は、読んでいるうちに心も気持ちも軽くなるかもしれません。第56回は「“久しぶり!”にご用心」です。
「久しぶり!」の連絡に躊躇
「久しぶり!」。こんな書き出しで始まるDMやメールが届いたら、一瞬は躊躇したほうがいい。
実は私の元にもこの数年間、チラホラとSNSのDM、公式ホームページからの問い合わせ、メールなど「久しぶり!」の連絡が入るようになった。元々、仕事の問い合わせは知らない人から入るのが通常運転なので、さほど気にならない。ただ届く「久しぶり!」は学生時代(小学校含む)や会社員時代など、過去に関係性があった人物らしい。ふーん。
「久しぶり! や〜、驚いた、ラジオ聴いたよ! 懐かしい!」
「お久しぶりです。すごーい! 頑張ってるよね。連絡してください。私の連絡先は……」
自分の記憶にない人から連絡がある理由は分かっている。この数年間、私が自著を出版、こうして文章も書き、地元のラジオに出演など、極小ではあるが名前と顔を世間で目にするようになったからだ。ただのおばさんになった私を思い出し、懐かしんでくれる気持ちはありがたいが、この類の連絡には一切返事をしていない。なぜかと言えば連絡をしてきた人物に必要性を感じているのなら、関係を途切らせずに続けているからだ。
では若い頃からの繋がりが全くないのかといえば、そうでもない。私にも10代からずっと連絡を取っている友人は何人かいて、定期的に会っている。旧知でつながるコミュニティーには満足しているし、友人にも感謝しているし、人員を増やす予定はない。