長年当たり前のようにやってきたことが、思いがけず人の役に立つことがある。誰かに喜ばれる経験を経て、ますます自分の毎日が面白くなった……そんな3人の女性に話を聞いた(撮影:藤澤靖子 写真提供:中里さん)
傾聴が大事な役割
平日は「産後ドゥーラ」として走り回り、週末は地域で外国人に日本語を教えるボランティア団体で活動する。そんな忙しくも充実した毎日を送るのは、神奈川県相模原市に住む中里小夜美さん(68歳)だ。
「最初からそれを目指したわけではありませんが、子育ての経験が産後ドゥーラに、学生時代の留学体験が日本語教室ボランティアに活かされています」と中里さん。
ドゥーラとは、もともとギリシア語で「ほかの女性を支援する経験豊かな女性」を意味する。現在では家事・育児を含め、幅広く産前産後の支援をする女性のことを指す。
中里さんが一般社団法人ドゥーラ協会認定産後ドゥーラになったのは、2014年にテレビの情報番組でその存在を知ったのがきっかけだった。
「見た瞬間、私、これがやりたい! と思いました。子どもを3人産み育てた経験から、自分にもできるんじゃないかとも。勉強を始めてみたら、とても大変な世界に飛び込んだとわかりました。現在は週に6~8組の方のお宅に伺っています。始めて10年になりますが、産後うつの方に出会ったときなどは、いまだにケアの難しさを痛感しています」