
4,000匹以上のぬいぐるみと暮らす小説家・新井素子さんの日常がここに。「ぬい活」が一般化するはるか以前、「ぬい」という呼称を生み出し、社会からずっと変人扱いされてきた新井さん。「ぬいぐるみは生きている」と本気で確信し育んだ「ぬい」たちとの生活には、ただごとではない発見と幸せのヒントが詰まっていました。
ぬい点呼
ところで。
昨今のぬい事情を……まったく判らないままに見ている私には……実は、とても気になっていることがあります。
私はね。
うちの子をショルダーバッグにつける時、その子に気をつけているんですが……あの……今のひと、は? 特に、若い子は?
今、電車なんかに乗っている時、ぬいぐるみをやたらとつけているひと……います、よね。高校生か中学生くらいの女の子に多いんだけれど。
二、三匹ならいいんだけれど。もっとずっと。
じゃらじゃらじゃら。
ほんとに凄い数のぬいぐるみが、そのひとの鞄にはついていて……これ、見る度に、私は不安になってしまいます。
……これ、大丈夫、なの、か?
いや、だって。一匹や二匹じゃないんですよ。すんごい数のぬいを、鞄につけているひと、います。あまりにそのぬいの数が多くて、これ、鞄を床に下ろしたらぬいが床を這いずってしまうんじゃないのか、そんな数のぬいがついている鞄……電車の中で、時々見かけます。
これ、見る度に私は不安になります。
大丈夫なのか?
というのは。私には、過去、ぬいさんを見失ってしまった経験があるので……。
