イラスト:花くまゆうさく
暑い時期は不調がつきもの。「よくあること」と放置して、ときに深刻な病となったり、「あれは病が見つかる前兆だったのか」とあとから嘆いたり。あわや、の思いをした人たちが得た学びとは(取材・文=島内晴美)

ダイエットの成果に喜んでいたら

今まさに病と闘っているナツミさん(49歳)も、過去の自分にほろ苦い後悔を抱えている。

4年前、80歳目前の両親が脳梗塞で同時期に倒れて要介護状態になり、一人娘のナツミさんに一挙に負担が押し寄せた。病院通いから介護保険の諸手続き……やるべきことが次から次へと出てくる。とりあえず入所できた有料老人ホームは2人で毎月50万円かかってしまう。特別養護老人ホームに転所できないかと申し込んでは順番待ちをし、やっと近くの特養に入所できたのが、昨年の夏のことだった。

「これからは何か自分のためになることをしたい、と一念発起。介護のストレスで食べ過ぎて、20キロも太ってしまったこともあり、『ダイエットする』と決めたんです」

生来の真面目さで、糖質制限ダイエットに取り組んだナツミさん。炭水化物の量を減らしたり、夕飯時に抜いたりするだけでするすると減っていく体重を記録しては、心躍らせていた。ところが─。

「始めて2ヵ月くらい経ったころでしょうか。顔色が悪くなり、疲れやすくなってきて。これまで夏バテなどほとんどしなかったのですが、『今年はダイエットしたせいだ』と気にしないようにしていました」

それでも、みるみる痩せていくのはうれしかった。11月に入ってから、娘に「お母さん、顔色がすごく悪いよ」と言われるまでは。

「その年の正月に撮った写真と今の自分を比べると、シミが増え、目の下にクマができているのが一目瞭然。痩せたせいばかりとも思えなくて……」