お母さんの良浜(右)と満1歳直前、344日齢の楓浜(写真提供:アドベンチャーワールド)
パンダが愛される理由の一つとして、かわいい反面その生態に未知の部分が多く、ミステリアスな動物であることがあげられます。現在、日本で最も多くのパンダを飼育してる和歌山県にあるアドベンチャーワールドで、29年で20頭を育てたチームが見た、彼らの本当の姿とは。今回はパンダの身体のつくりについて紹介します。

パンダを守れ! 絶滅危惧種からの復活

「絶滅危惧種」という言葉は、皆さんも聞いたことがあるでしょう。パンダもそのうちの一種でした。

かつて、動物としての珍しさや、白と黒の毛皮が珍重されたことから乱獲・密猟が盛んになり、数を減らします(1938年に捕獲は禁止)。

一方、中国の広大な山岳地帯に広がっていた生息地の土地開発が進み、生息域が減少すると共に、分断されていきます。ふだんは単独で暮らし、繁殖時期だけオスとメスが出会う動物ですから、生息地の分断によってますます繁殖機会も減り、個体数減少に拍車がかかりました。

また、主食である竹は、60〜120年に一度、一斉に花を咲かせると、その後、枯れるという周期のある植物です。1970年代後半〜80年代前半にかけて中国各地の生息地で竹林の枯死が相次ぎ、餓死したり、衰弱するパンダが増えてしまいました。