インターネットやスマホアプリを使った個人売買が盛んな昨今。放置している不用品を売ったら、いくらかになるかしらと考えている方も多いのでは?けれど、お金に換えることばかりが《得》ではないようで……
廃棄品を修復して甦らせる
一方、ごみとして処分されそうなものを、お宝にしているという人もいる。
村瀬裕子さん(72歳)は35年ほど前、友人から「実家を取り壊すので、残っているものはなんでも持っていっていい」と言われて見に行くことに。関東大震災後に建てられた立派な洋館には、古い家具や食器がかなり残されていた。
村瀬さんは、大理石を使った花置き台や懐石盆のセット、行李にいっぱいの古い着物と和装小物を持ち帰ったそうだ。ちなみに、真鍮のスイッチ板を壁から外して持っていった人もいたらしい。建築当時、海外から輸入された品で、アンティークとして価値があるとか。
「花置き台は塗装がかなり剥げていたので、サンドペーパーですべて剥がしてからニスを塗ったところ、見違えるようになりました」(村瀬さん。以下同)
これを機に、家具のリストア(修復)に目覚めた村瀬さん。近所の粗大ごみ置き場で文机を見つけ、捨てた人の了承を得て家に持ち帰った。
「『こんなボロボロなのに、いいんですか?』と言われました。確かに古びていましたが、指物師の手による家具で、レトロな雰囲気も魅力的。直してローテーブルとして使っています」
その後も、廃棄されるはずだった家具を引き取って自分でリストア。食器棚や傘立てなど、タダで入手して使っている家具が6つもある。