利用者が偏っている
まず1つ目が、こうしたネット系マッチングサービスの利用者が、一部の層に偏っているのではないかと見られることです。
’21年、内閣府主催の研究会で「マッチングアプリは、自力救済色の強い手段」だと発言したのは、ニッセイ基礎研究所生活研究部の天野馨南子(かなこ)氏です。
『未婚化する日本』(白秋社)などの著書もある彼女は、マッチングアプリで結婚に至った男女について、元来それまでの活動量が非常に多く、かつコミュニケーションを面倒がらない傾向にあるのではないか、と指摘しました(’21年同「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会(第3回)」)。
つまり、マッチングアプリで結婚まで至れるような男女は、もともと恋愛や結婚の「積極層」に多く、たとえアプリがなくても、いつかは誰かと出会えていたのではないか、と想像できます。
そうだとすれば、アプリによって出会えるまでの“時間”は多少短縮されるかもしれませんが、出会える人の“数”の増加には、さほど寄与しないのかもしれません。
また、「いつかは結婚したい」とする未婚男女(18~34歳)は、いまも「適当な相手にまだ巡り会わないから(結婚していない)」を、未婚理由のトップにあげています(男性36.6%/女性45.7%)が、実はこの割合や傾向は、ネット系マッチングサービスが普及するより、はるか以前、30年以上も前(’92年)から、ほとんど変わっていません(男性42%/女性46%)(「第10回、第16回出生動向基本調査」)。
ここから考えると、婚活アプリなど現在普及するサービスの多くは、よほど性能が悪いのかもしれない、とさえ思えますよね。