どうする、老人。老いの重みって何?
タキ これは母が語っていたことなんだけど、本当に老いるとね、その重みに耐えられるだけのものを持っているかどうか。それは使命感だと一言いわれた。
まさし 使命感。
タキ 使命感だと。自分ができることを遂行する。
まさし 何をしたいかが大事だってこと?
タキ そう。
まさし うわー。何をしたいかがわからない人にはダメじゃん。
タキ それはいつでも見つけられるって。まず見つける気持ちを持ちなさい。
まさし 見つける気持ちを持つ。
タキ うん。だから、自分は誰の役に立ちたいの? どうやってこれから生きていたいの? 「孤独になるばっかりで誰も私のほうを見てくれないし」じゃなくて、お料理が好きな人は、ずーっとお料理をいろんな人にふるまって食べてもらうのも使命の一つだし、できることを何でもやる。ささやかでも有料にすることも大事かも。
その人にとっての、「生きがい」というやさしい言葉もあるし、「使命感」という哲学的な言葉もあるけれども、とにかく何かをやって、何かを感じる。そのためにはどうしたらいいか。やっぱり人の話を機会あるごとに聞く姿勢がいくつになっても大切なんじゃないかな。
※本稿は、『さだまさしが聞きたかった、「人生の達人」タキ姐のすべて』(講談社)の一部を再編集したものです。
『さだまさしが聞きたかった、「人生の達人」タキ姐のすべて』(著:加藤タキ・さだまさし/講談社)
さだまさしが、長年敬愛してやまない「タキ姐」こと加藤タキに、聞いてみたかったことをすべて聞いてみた。
日本を代表する社会運動家・女性初の代議士として活躍した母・シヅエの娘として生まれ、世界的な大物アーティストたちと個人的親交を結び、さらに78歳のいまも、淡々と飄々と、そして凛として生きる。そんな彼女が伝えるとらわれず自由に生きるヒント。