嫌がらせレベルにエスカレート

ある気持ちのいい晴天の朝、布団と枕を干した。午後に布団を取り込もうとしたら、枕や布団が何やら茶色っぽい水で濡れている。「えっ、また上の階から?」。枕を抱えて上階のベルを押す。奥さんは前回同様、子どもを抱いて出てきた。

「茶色い水がかかっていて……」。彼女は覗き込むように枕を見て、子どもに話しかける。「何かなぁ、わかる~?わかんないよねえ~」。

語尾を伸ばす話し方にムカッときた私は、「おしっこじゃありませんよね?」と反射的に尋ねていた。

すると子どもに、「おしっこだって。そんなことしないよね~」と言ったかと思うと私を睨みつけ、「そんなことしません!」と言い放ちバタンと扉を閉めた。私も「おしっこ」は少し飛躍しすぎたかなと思ったが、子ども言葉で遊ばれたことにイラッとして本心が出たのだ。

あの子がバケツか何かをひっくり返したのだろうか。二児の母である友人に電話して意見を聞いてみた。「子どもが何かをひっくり返したら気がつくし、まず謝りに行くわね。それに幼い子を一人ベランダで遊ばせる親はいないはず。子どものいたずらじゃない気がするけど」と友人。夫は、「気にしないほうがいい」と取り合ってくれない。

「おしっこ発言」が心外だったのだろうか、その後も頻繁に落下物が続いた。古いスリッパ、瓶の蓋、趣味の悪い女性下着……。もはや嫌がらせとしか思えない。もう落ちてくるものはそのまま下に落とすことにした。