恋愛は自由だけれど、男は外で

スー 『あの家に暮らす四人の女』では、敷地内に住み、鶴代の祖父の時代から牧田家に仕えている山田というおじいさんが出てきますよね。

三浦 家のメンテナンスや草取りをしてくれる便利なおじいさんです。老女館にも、そういう役割の人は必要ですね。

スー 齢を重ねると、荷物運びなど力仕事はきついし。独身の女が70年生きていたら、荷物だらけですよ。三浦さん、持っているものを捨てる気ないでしょう。

三浦 はい。だって、ものはイコール、人生の積み重ねですから。誰が断捨離なんかするものか!

スー アハハハ、怒ってる。ということは、みんなの荷物保管用に倉庫スペースも必要。じゃあ誰が荷物を運ぶかといったら、やっぱり苦学生ですよ。ちゃんと対価は払って。

三浦 なるほど、一種の便利屋ですね。どうせなら俳優の卵みたいな、見目麗しい男子がいいかも……。

スー そういう子は管理人に雇いましょう。ただしバイト君以外、18歳以上の男子は出入り禁止。恋愛は自由だけれど、男は外で。

三浦 団地に連れ込むな、と。たしかに老人ホームなどで、痴情のもつれが多いと聞きます。同じ屋根の下でそういうことが繰り広げられると、気が休まりませんからね。

スー 小説のなかで佐知は、壁紙の貼り替えをお願いした内装業者の梶という男性に心惹かれる。この先、2人はどうなるんだろうなぁと思いました。

三浦 書きながら「佐知には梶さんみたいな人が現れてうらやましい」と思いつつ、「いやいや、梶さんはきっとヘンタイに違いない」と、自分に言い聞かせたり。(笑)

スー わかります。40代の友人たちも、「結婚しないと決めたわけじゃないけれど」と言いながら、誰かと出会っても不安から欠陥探しのようなことをする。そのなかで珍しく、40代半ばにして結婚した友人がいて。お相手は48歳で初婚のサラリーマンです。

三浦 40代まで自分のリズムで生きてきた男女が一緒に暮らすのは大変でしょう。よく決断しましたね。