中古一軒家で得たのは自分だけの空間と賃料からの解放

何度か見るうち、値段が2000万円台後半になっていました。

それでも、まだ買える値段ではありません。見ているとどんどん下がり、半年くらいでついに2000万円近くになりました。

『72歳ひとり暮らし、「年金月5万」が教えてくれたお金との向き合いかた40』(著:紫苑/マガジンハウス)

この狭さでは買う人がいなかったためなのでしょうか。

安くなっていたのを機に子どもたちと内覧に行きましたが、内部はどうにか判断できても、外壁は? 外回りは? 基礎は? という知識は、家族そろって皆無。

トイレ、風呂場、台所とリフォームされている部分だけ見て、これならどうにか暮らせるだろうと思うだけ。

想像より狭く、入るなり「こんなに狭いの?」と思わず口走ったほどです。

「こんなに狭い家、だれが住むんでしょう」
「いや、子どものいない夫婦とか、ひとり暮らしの人とか……」

そうか、ひとり暮らしなら「住めないことはないな」。

お金もないのに、私は生意気にもこんなことを口走ってしまいました。

それでも迷ったのは、1000万単位の買い物なので、家を買えば貯金がなくなると思ったから。

迷っていたら、売主が「それではもう200万円引きます」との連絡が来て、シメタ! と契約となりました。

こうして、築40年、10坪あまり、人生で初めて小さな家を持つことになりました。

とりあえず屋根と寝るところがあればいい、こんな最低限の条件での購入でした。

だから家を買った喜びより、とりあえず家賃からは解放されるという安堵のほうが大きかったのを覚えています。