お金を使わないことでみえてくるもの

最近のシニアはとても元気ですので、観光地でも60代、70代の旅行客を多く見かけます。一人旅の方も多いようですが、実際、駅の窓口・案内所などはそれに対応できるように準備が整っていますし、駅員や係の人からは親切に対応して頂けます。

たとえば、旅先でダブってチケットを購入したことがありましたが、駅員さんから「このチケットは必要ありませんよ」と指摘いただき、そのまま払い戻しの手伝いをしてもらいました。指定席を取ろうとしたら、「この電車は混んでないので、自由席で十分です」と教えていただいたことも。

思い返せば、私の若い頃だと「女性の一人旅は危険」と言われ、旅館では断られること多々。一人で海を眺めていると「あの人は大丈夫か?」などと、周囲から心配されたものです。

しかし今、自らシニアのひとり旅をして実感していますが、昨今では女性の一人での旅も歓迎されますし、一人で楽しめる食事や設備も充実しています。

またその一方で、「節約旅」もそれはそれでいろいろな楽しさがあるように感じています。高級な旅館やホテル、もしくはツアーを使うのは、旅にまつわる面倒を軽くしてくれるので快適かもしれませんが、安く行ける方法を考えたり、自らの足で歩きまわり、肌で感じるのは良い運動や脳トレにもなるのでは。

旅も生活も「お金を使わない」ことを前提にすることで、初めて見えてくるものがあるのかもしれませんね。


71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活』(著:紫苑/大和書房)

71歳、ひとりシニア。子どもたちが結婚してから60代で都内に小さな中古住宅を買った紫苑さん。フリーで仕事をしていたため、年金はわずか月5万円と、お金はないけれども不安はないし、今が一番幸せ。あるものを工夫する豊かで楽しい日々をご紹介。