紫苑さん、最近になって「古い家を買ってよかった」と思うことが多いそうで――(写真提供:筆者)
母子家庭で、二人の子どもを育てながらフリーランスで仕事をしてきた72歳のひとりシニア・紫苑さん。そのため年金の額は月に5万円ですが、お金を遣わなくても安心して暮らすための工夫の数々をブログに記すと話題となり、楽しい毎日の様子は新聞やテレビなどでも紹介されるようになりました。その紫苑さんの節約術を日々の暮らしとともに紹介していくのが当連載。今回のテーマは「古い家のメリット」です。

この家にしてよかった?

築50年以上、10坪程度の小さな我が家。

この家を買ったのは、少ない年金を自覚し「いま住んでいる公団の家賃では、いずれ家計が破綻する。とりあえず屋根と壁さえあれば…」との判断から。

なけなしの貯金をはたいて買った、という事情は過去の連載にも記しました。

とにかく狭いうえ、窓から見えるのは隣の家の壁ばかり。買った当時はその息苦しさから、なんだか落ち込むこともしばしば。

しかし、そこから8年近く経って自分なりに整えるうち、だんだん愛着が出てきました。まさに『星の王子さま』に出てくる「費やした時間だけ大切になる薔薇」、というわけです。

ただ、そんな情緒的な愛着とは別の意味で、最近「この家にしてよかった」と思うことが多くなりました。今回はそれについて書こうと思います。