それでも侵入を許してしまったら

ここまで対策をしても、絶対に犯罪にあわないとは言えないのが難しいところです。うっかり鍵を閉め忘れて家に入られてしまうこともあるかもしれません。そんな場合に備え、私は「捨て金」を用意することを、講演などでお伝えしています。

せっかく苦労して侵入したのに盗むものがないと、腹いせに放火する犯罪者もいるため大変危険。おとなしく帰ってもらうため、5000円から3万円くらいのお金を、わざと見つけやすい所に置いておくのです。

また、在宅中に被害を受けることもないとは言えません。誰もいないと思って侵入した空き巣が、住人と鉢合わせして危害を加えたり、初めから怪我をさせてでも目的を果たすつもりの強盗もいます。

そんな時、4原則で最も重要なのは「時間」です。侵入に手間取らせれば、その間に警察を呼べます。それでも万が一侵入されたら、命を最優先してください。携帯電話を肌身離さず持ち、屋外やトイレに逃げて警察を待つのです。

やっかいなのが、最近増えている「なりすまし強盗」。ニセの宅配業者などを装い、玄関から堂々と入ってくる泥棒です。彼らは、人を信用しやすいシニアの方を特に狙っています。

見覚えのある制服で見分けがつかず、よくよく注意しなければなりません。宅配便は必ず送り主を確認し、本物でも玄関前、できれば宅配ボックスに置いてもらいましょう。最近は、多くの荷物でサインが不要です。

ポストやゴミ袋を漁って交友関係を突き止め、知り合いからの荷物を装う場合もあります。ポストには鍵をかけ、ゴミは収集時間ギリギリに出すなどの対策も必須です。

また、みなさんは、突然の来訪者をうっかり家にあげたりしていないでしょうか? 宅配業者のほか、頼んだ覚えのない点検業者が犯罪者だった、というケースもあるのです。

家に入ってすぐに正体を現し、危害を加えてくる場合もあれば、点検のふりをして盗聴器などを仕掛け、後日留守を狙って空き巣に入る手口もあります。「追い返すとかわいそう」と思わず、きっぱり断ってください。