毎朝5時に起き、家族の食事を作り置き
当時、私はコロナ禍で仕事がゼロになり、家賃が安い部屋への引っ越しを決めていたんです。荷作りを終え、食器も段ボール箱に詰めてしまっていました。だから「久しぶりに実家に行ってご飯食べさせてもらおうかな」と軽い気持ちで帰ったら、こういう状態だったわけです。引っ越し業者にはすでに依頼していた状況でした。
でも、母が気がかりです。賃貸契約はキャンセルして引っ越し先を変更し、二十数年ぶりに実家に戻ることにしました。
母は認知症かもしれない。今後のためにも、まずは医師に診てもらわなくては。何度説得しても絶対に医者には行かないと言っていた母がある時、「煮るなり焼くなり好きにしたらいいさあ! 出るとこ出て、腹かっさばいて散ってやらあ!」。まるで侍のよう。
でも、あ、行く気だ! と思い、母をタクシーに乗せて精神科へ連れて行きました。
医師の診断は、初期のアルツハイマー型認知症。以前実家に帰った際、そういえば会話が一方通行になることもあったかなあと感じることはありましたが、それだって診断がついた今だから思うだけ。穿った見方だという気もしますし、一方通行の会話なんて私自身もあります。なんともいえません。
その後のメールでのやり取りも今までと変わらなかったので、対面するまでは認知症を疑いもしませんでした。