化粧品のチューブは切って中身を使い切る

いまや大手のスーパーやホームセンターではポイントカードを必ず発行しているが、市内のスーパーではそれに加えて毎月サービスシールが発行される。一定数たまると商品券などのプレゼントに交換してもらえるのだ。私は、フロアや買い物かごをそれとなく見て、落ちているシールがあるといただいている。

このほか、日用品の使い方も工夫を凝らした。ある化粧品メーカーのCMで、チューブを切って綿棒でこそげ取って使い切る様子を見た私は、すぐさま真似ることに。ファンデーションや歯磨き粉のチューブの下をはさみで切り、中身をすべて取り出す。不思議なことに、ここまで徹底して使い切り処分すると、私の心は満足感でいっぱいになる。

さらに日用品のなかでも洗剤、化粧品など、使い切るのに日数がかかるものは、サインペンで使用開始月日を書き、使い切る日数を計算する。すると1年間の使用数がわかり、家計が鮮明になってきた。

こんな涙ぐましいことを5年も続けた末、へそくりは200万円近く貯まった。その通帳を夫に見せると、「お前よくこれだけ貯めたな」とぽつり。お金にルーズな私が気を引き締めてここまで貯めたことが驚きだったようだ。44歳の時に手にした『武士の家計簿』という本は私を変えた。変わろうと思えば人は変われるのだ。

夫は数年前に定年退職し、私に手渡される生活費はかつての3分の1の額に。だが、楽しく明るい貧乏性となっていた私にとっては、別にどうということはない。

コロナ禍と物価高で、夫も節約人間、貧乏性人間へと変わった。2~3日おきに、夕方になるとショッピングバッグを持ってスーパーへ出かけ、半額品、割引品、見切り品を買い込んでくる。節約できるところは節約して、お金を使うことが少なくなった今のこの暮らしが快適に思えるようになった。