(イラスト=古谷充子)
総務省が発表した2023年11月分の家計調査報告によると、勤労者世帯の実収入(2人以上の世帯)は、1世帯当たり494,181円と、前年同月比で4,7%の減少に。そのような状況の中、物価高は続くため、消費を少しでも抑えたい人は多いはず。山崎晶子さん(仮名・茨城県・主婦・64歳)は、三高男性の夫の庇護のもと、自由にお金を使う生活を送っていましたが、1冊の本、『武士の家計簿』に出会い節約に目覚めたそうで――。(イラスト=古谷充子)

「このままでいいわけがない」と一念発起

雑誌を手にすると、「私の人生を変えた本」というテーマで著名人の愛読書が紹介されていることがある。2003年だっただろうか、夫が買ってきた週刊誌を読んでいたら、書評コーナーで『武士の家計簿』という新書が目についた。

本の紹介文もさることながら、主婦の私には「家計簿」なる3文字が関心を引きつけた。急に読みたくなり、市内の書店へ行ってその新書を購入。歴史ものの本を手に取るのは初めてだったが、意外な面白さに一気に読んでしまった。

幕末の武家に積もり積もった借金。その返済のための、涙ぐましい家族の倹約生活。この新書を読了してのち、家計簿をつける私の目は変わった。家計簿は日々の収支を記録するものではあるが、それだけでなく、何か特別な意味があるのではないか、と。

その時私は44歳。長女は中学生になっていた。手元には結婚以来つけてきた16冊もの家計簿。それを手にして、これまでの日々を振り返った。

いわゆる三高男性の夫の庇護のもとで、私は大らかにお金を使ってきた。取り立てて大きな支出はなかったが、こんな暮らしがいつまで続くというのだろう。何事もなかったとしても、サラリーマンの夫はいつか定年退職の日を迎える。

その後のわが家はどうなるだろう。このままでいいわけがない。このあたりでわが家の台所事情を見直さなくては。パートの給与の大半は私個人の口座に預金してあるが、もう1つ別の口座を作り、家計を切り詰め、節約をし、どれほどの貯金ができるかやってみよう。