割引品の魅力を感じて
無意識にお金を使う暮らしはこれを機にやめた。真っ先に点検したのは食費である。市内にスーパーは3店舗。正午を過ぎるとさまざまな食品に値引きシールが貼られる。通常価格で買うのは控え、割引、半額品をまとめて買い、冷凍保存しておく。野菜、果物、肉、菓子、コーヒー、文具と、見切り品や割引品、処分品はお宝である。
次は衣料品。これも通常価格で買うのはやめ、目をつけた服は値下がりするまで辛抱強く待つのみ。ある時、素敵なデザインのコートが目についた。ツイードの英国風コート。春と秋の両方に着られ、高級感のある品だ。
値札を見ると5800円とある。値下がりするのをひたすら待った。2ヵ月後、店で見ると値段は3800円に。2000円も安くなっている。今こそ買い時、とばかりに購入した。そのコートを着るたびに私の心は弾み、10年以上大事に着ている。
コート以外のもう1つの戦利品はイタリアの革製ペンケース。隣の市にある「丸善」へ行った時、「処分品につき全品半額」のポスターがあり、ケースの中に高級ブランドのペンケースを見つけた。5000円の品が半額。ところどころに傷があり、そのため半額となっているのだ。
私は迷うことなくそのペンケースを買った。ドイツのペリカン万年筆を愛用している私は、前からこの万年筆を入れるにふさわしいペンケースが欲しいと思っていた。多少傷があっても構わない。革製品なので使い込むほど味が出てくる。今はこのペンケースにペリカン万年筆を忍ばせて、常にバッグに入れている。《ボロは着てても心は錦》の心意気だ。
市内のホールではさまざまなイベントが開催される。毎年アウトレット商品、質流れ品、倒産した企業の売れ残りの品の販売会がある。私はこんな販売会もフルに利用する。
いつだったか、見るからにブランド物らしいバッグがあった。正規の価格ならば2~3万円はする品であるが、5000円の値札が付いていた。これは買わねば。ベージュなのでどこへ持っていっても恥ずかしくない。高級な品を安価で手に入れられるのは、なんと幸福なことだろう。