お酢がほしい時は、熟した柿のヘタをとった実を小さく切って瓶に詰めておけば、柿酢ができる。このあたりには「あまんど」と呼ばれる実の小さな柿があるのですが、お寺になったのをいただける時はそれを潰して、染色に使う柿渋が作れるんです。同じ食材にもいろいろな使い道があって楽しい!

柿渋は、小麦粉をひくひき臼ではなく餅臼で作りますが、これは最近知り合いに譲ってもらいました。こういう生活を周囲が知ってくれているからか、調理器具ももらいものが多いんです。今度はお餅も作ってみようかなと思います。

たくあんを漬ける桶は、私が「山のばあちゃん師匠」と呼んで慕っている地元の方からいただきました。彼女は「私が生きている間は、いろんなこと教えてやるから」と言って、お世話してくださるんです。師匠のたくあんは絶品で、秘訣は漬ける時にナスの葉を加えることだそう。

ミカンの皮は七味唐辛子にも使われているでしょう。だから乾かして調味料にしています。玉ねぎの皮は染色にも使うし、野菜は捨てるところがないのよ。

もらいものが多いけど、物々交換でお返しもしています。だから、お金はそんなにかからない。唯一の贅沢は果物です。健康のために食べているけれど、果物を買わなければ、1ヵ月の食費は1万5000円以内でおさまるんだけどな。

 

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