U-zhaanさん、清水ミチコさん、レキシさん(左から) 撮影:木村直軌
袴姿にアフロ、という出で立ちで、日本史をモチーフにした独創的な歌詞をクールなメロディーで聴かせるレキシさん。その盟友で、髪形の見分けのつかなさから「ニセレキシ」の名も持つU-zhaan(ユザーン)さん。もじゃもじゃの髪に目がいきがちですが、2人の話芸に清水ミチコさんの笑いが止まりません。(構成=篠藤ゆり 撮影=木村直軌)

落ちるところまで落ちたら

ユザーン 池ちゃん(レキシさん=池田貴史さん)、今日はしっかり袴なんだね。

レキシ もう45歳だから。

清水 もっとお若いかと思ってた。いや、その前に歳と袴、関係ないでしょう。(笑)

レキシ この羽織の紋は違うんですが、池田家の実際の家紋は、姫路城をつくった池田輝政公の家紋と同じなんです。

清水 さすが日本史を歌にしているだけのことはあるね。

レキシ 岡山の池田家の流れを汲む血筋だと親から聞かされていたものの、どうせ先祖が捏造した話だろう、くらいに思ってたんですよ。でも、このあいだ姫路城に飾られている歴代城主の肖像画を見たら、僕にけっこう似ていて。

ユザーン へー。そう言われると、なんだか池ちゃんも殿様っぽく見えてくるね。

レキシ 違うでしょ。これは沖縄や北九州の荒れる成人式。(笑)

清水 2人はとても仲いいけど、髪形が似ているのは、偶然?

ユザーン 偶然だと思いますよ。

レキシ アフロにしたのは僕のほうが早いよね。1993年くらいからだから。

ユザーン 僕がはじめて池ちゃんに会ったのはその3年後なんですけど、そういえば、その頃なぜか「インド池田」という名前で活動してたよね?

清水 なに、その名前!

レキシ なにもここでそれを言わなくても……。いや活動というか、いまも日本史をコンセプトにした独特な曲をたくさん作っていますが、当時からすでにバンドと並行して同じようなことをしていて。で、そのときのユニット名が「インド池田と紙袋たち」だった。(笑)

清水 レキシさんまで、なんでインド?

レキシ 自己紹介するときにウケたくて、「インドから来ました」と言って大スベりしたんです。それ以来、「インド池田」というあだ名がしばらく定着してしまって。

ユザーン スベるのが好きなのは、その頃からだったんだ。

レキシ いまも別に好きじゃないよ! でも、たとえ多少スベったとしても自分が楽しければいいかと思ってるところはある。

清水 わかる。いいスベりってあるんだよ。「インド池田」もあだ名になったのは、みんなの心に爪跡を残せたってことだし。

ユザーン 自分がスベるのはかまわないけど、人を巻き込むのはやめてほしい。何年か前にフェスで出演日が一緒だったとき、池ちゃんから「ユザーンが、サングラスかけて幟も持ってステージに出てったら、お客さん一瞬オレと勘違いするんじゃない? 髪形似てるし」って提案されて。これ絶対ウケるよ、って強く言う池ちゃんの言葉を信じて出てみたんですよ。そしたら、客席が静まりかえってしまって。お客さんは、舞台上で何が起きてるのかわからないまま、ただただ困惑していた。

清水 その反応、一番つらいよね。

ユザーン どうしたらいいのかわからず、逃げ出すようにステージを降りました。しばらくしてライブを終えて楽屋に帰ってきた池ちゃんはすごく嬉しそうに「いやぁ、スベってたね!」とか言ってて。

清水 ひどい!(笑)