(イラスト◎大野舞)
スピリチュアリストとして、さまざまな角度から読者のお悩みに答え、生きる指針を示してくれる江原啓之さん。現在は熱海に在住し、ていねいな暮らしをしながら日々「生きる上で大切なこと」を発信し続けています。『婦人公論』のリニューアルにあたって始まった新連載「〈幸せぐせ〉を身に着けよう」。第25回は「愛犬を亡くしペットロスに。悲しくて何もする気が起きません」です。

Q 愛犬を亡くしペットロスに。
悲しくて何もする気が起きません

A)犬に限らず、再びペットを飼う

B)ペット以外の趣味を探す

死を見据えておくこと

犬や猫などのペットをかわいがり、「わが子同然」「この子がいるから仕事を頑張れる」「生きる張り合い」と思っている方にとって、今回のテーマは身につまされるものでしょう。ペットがいるから夫婦の会話が成り立つとおっしゃる方も少なくなく、そうした家庭では、ペットを亡くした後、会話が減るというのもあり得ること。あなたがそんな飼い主ならば、AとBのどちらを選ぶでしょうか。

幸せぐせはB。Aが不幸ぐせです。Aが不幸ぐせの理由は、二つあります。もしAのように新たにペットを飼った場合、飼い主が60代以降であれば、ペットの面倒を最後まで見られない可能性がある、というのが第一の理由。新たに飼うペットより先に自分の寿命が来てしまうかもしれませんし、それ以前に自分に介護が必要になったり、パートナーが病気になったりすることだってあるのです。犬猫の平均寿命は14〜15歳。長ければ20年近く生きることもある。60代で飼い始めるとなると、看取るのが80代になることも。今は健康だと思っていても、シニア以降になれば、いつどんなふうに体調を崩すかわかりません。

私は以前、病に倒れ突然亡くなった大叔父のお通夜に参列したことがあります。そのとき大叔父の飼っていた柴犬が、庭で「きゅ〜ん、きゅ〜ん」と悲痛な声で鳴いていたのを忘れることができません。飼い主を亡くしたペットがどれほど悲しみを抱くか……。そのとき痛いほど知りました。飼い主にとってペットが家族同然なように、ペットにとっても飼い主はかけがえのない存在なのです。

それに年齢に関係なく、ペットを飼うには体力がいりますし、費用もかかるという事実を忘れてはいけません。犬なら、散歩だって足腰がしっかりしていないと続けられないでしょう。ペットが病気になれば、年金暮らしだろうが何だろうが、医療にかからせなければならない。老いれば介護だってしなければなりません。自分や夫の病気、介護の心配もこれから出てくるなかで、最後まで世話ができるでしょうか?

コロナ禍でおうち時間が増え、ペットを飼う家庭が増えたそうですね。その一方で、コロナ禍が明けておうち時間が減り、ペットの世話ができなくなり捨ててしまう事例もあるのだとか。動物であっても、同じ命です。それを粗末に扱うなんて……。驚きを通りこして、呆れてしまいます。