天命で卒業はめでたい

Aが不幸ぐせであるもう一つの理由は、自分本位な小我が垣間見えるからです。

そもそもスピリチュアルの視点で見れば、ペットを飼うことはボランティアです。ペットと一緒にいれば、かわいさに癒やされる瞬間もあるでしょう。しかし、命あるものを預かる責任は重大です。ペットがその命をまっとうするまでお世話する、その奉仕の精神があれば、本当はペットロスにはなりにくいはずなのです。よく考えてください。天命をまっとうしてあの世に行くたましいは、この世を卒業したのであって、おめでたいこと。残された人の寂しさを否定するわけではありません。しかし、何もする気が起きないほどロスになるのは、結局は自分が大事な人と言えるでしょう。

しかも、その悲しい気持ちや寂しさを癒やすために代わりのペットを飼うのは、あまりにも自分勝手ではないでしょうか。新しいペットは、決して亡くなった愛犬の代わりにはなりません。ですから、ペットロスを癒やしたいという理由で飼うのは間違いです。飼ったあとで、「やっぱりこの子じゃダメだわ」などと思わないとも限らないのですから。

 

(イラスト◎大野舞)