2024年は、経済環境に好転の兆しも
物価高に苦しめられる状況は今後も続くのか。2024年以降は、特に働く世代にとっては多少ましになると考えています。
冒頭で述べたように、今の苦しさは、「物価上昇に給料の伸びが追いつかない」ことにある。実は今年、30年ぶりの高い水準で賃上げが行われ、「名目賃金」(物価上昇率を加味しない見かけの賃金)がアップしました。しかし、物価がそれ以上に上昇したため、「実質賃金」はマイナスにとどまったわけです。
このまま24年も賃上げは続くと予想されます。少なくとも22年以前のような低い水準に逆戻りすることはないでしょう。また年金の実質的な目減りについて心配される方もいるかもしれませんが、そこは減税・給付金が助けになると思います。
問題は物価です。24年以降もインフレ傾向に変わりはありませんが、23年のように3%もの上昇率は続かないとみてよいでしょう。価格高騰で消費が減退し始め、企業側もこれ以上値上げがしづらくなってきています。
具体的な兆候も現れていて、10月には、小麦の国内製粉業者などに対する「政府売渡価格」が、1割以上引き下げられました。さまざまな料理に使われる小麦の高騰は、食料品値上げの大きな要因となっていたため、波及効果は大きいはずです。
そうしたことを踏まえると、24年度の後半には、物価上昇率が2%を切るところまで落ち着くかもしれません。加えて賃上げも進めば、年度後半くらいには、実質賃金がプラスに転じる期待も持てます。