福田転球さんとの楽しい美味しいものの話

「青木さん食べ放題だったら、何がいいですか?」
「あー、そうですねえ、フルーツ、ですかねえフルーツ」

「フルーツ、いいですね。フルーツ何が好きですか?」
「あ、待って。カニかなあ、いや、面倒ですから、やっぱりフグ刺しですかね」

「延々、いけますねえ、フグは!」
「好きですか?転球さん」

「いや、フグは、いいですねえ」
「奢ってくれませんかねえ、誰か。どれだけでもぺこぺこしますから。食べてる間中、もう、頑張りますから!」

「ははは!いいですねえ。食べたいなぁ~」

と、毎日こんな調子だ。ヒリヒリした内容の芝居の稽古を閉ざされた空間でしていると、一瞬美味しいものを想像するのが何より幸せだ。
小道具のフランスパンが、これまたうまくできていて、美味しそうに見える。

1940年代のニューオーリンズの人たちだってきっと、美味しいものを食べたり飲んだりするのが楽しみだったんだろうなと想像する。ガンボ、ジャンバラヤ、レッドビーンズ、このあたりの食事を楽しみながらカクテルやビールをゴクゴクと呑む蒸し暑く、濃い夏を過ごしていたのだろう。

2月。日本の劇場で、蒸し蒸したニューオーリンズを感じてもらえますように。

稽古前、新大久保で一人ランチ。もやし鍋
【関連記事】
青木さやか「お正月、名古屋の祖母宅に帰省中、映画館で地震が起きた。96歳の祖母は必死に窓を抑えていた」
青木さやか「愛犬おっぽが亡くなって1年が過ぎた。わたしは今もあの時の悲しさを閉じ込めたままにしているんだと感じる」
青木さやか「1年間粘った娘の熱意に負けて迎えた2匹の保護猫。今や彼らなしの生活は考えられず」 
《秋編》青木さやかさんと行く! 軽井沢 諏訪神社と 里山のかまど炊きご飯『御厨』とろろ御膳
青木さんの連載「50歳、おんな、今日のところは「●●」として」一覧