後悔のないよう生きなくては
だから私たちは早くから、危機感を持って自分一人で食べていく方法を考えました。
「学校の先生になろうかな」「私は看護婦(看護師)」など、将来設計をよく友だちと話し合ったものです。
女の子のなれる職業はまだまだ少なく、バスガールにエレベーターガール、薬剤師などでしょうか、女の子だからなれる職業にまず目がいくのです。
でも男か女か、性別の関係ない職業って素敵だなと思いました。マンガ家がそうだなと思ったのです。ペンネームを使えば、男か女か分かりません。
まず、絵や文章が好きでした。友だちのリクエストでよく日本や西洋のお姫様、恐竜などを描いていて、鉛筆でマンガも描いていた。
作文や詩を書く授業では、いつまでも書き続けて、制限時間内に終わらないものだから、かえって点がもらえないほどだったのです。
根暗な上にだらしないという欠点もありました。死が怖くて、放課後に同級生と別れるときも、再び会えるのか不安で「さよなら」の後に「また明日ね」と必ずつけ加えました。
そんな心配性で小心者なのに、夏休みの宿題はいつも、最後の3日まで手をつけないのです。
夏休みは長いから大丈夫、とダラダラしているわけですが、6年生の夏休みのある日、はたと気づいたのです。
もし人間の寿命が100歳と決まっていたら、私など99歳と半年までダラダラしそうだ。いつ死ぬか分からないからこそ、人間はシャキッとするのだ。私も、たとえ長く生きられなかったとしても、後悔のないよう生きなくては、と。
私にとって、人生の転機ともいえる考え方の変化でした。