パパとママでコミュニケーションに差

コミュニケーション力ということで言うと、一般的に女性は男性よりはるかに上手な人が多い。挨拶もちゃんと返してくれるし、言葉のキャッチボールもうまい。診察の要点をちゃんと復唱して確認してくれたりする。

概して女性の方が声が高く、男性の方が声が低い。この当たり前の事実は実はコミュニケーション力に深く関係している。これは開業医になるまで気がつかなかった。高い声はよく通る。子どもがギャン泣きしていても、会話が成り立つ。しかし男性の声は聞き取れない。

その一方で、待合室から診察室まで母親の声が聞こえてくることはまずない。ところが父親の野太い声は診察室まで響いてくる。太い声が耳に入ると、ついこちらとしては緊張する。

おそらく太古の時代から、男は闘争で生きてきて、女はコミュニケーションで生き延びてきたからではないか、などと思ってしまう。

最近は父親もかなり育児に参加しているようで、ぼくが開業した17年前と比べて、子どもを連れてくる父親がずいぶんと増えた。特に土曜日は会社が休みのせいと思われるが、若い父親がよくやってくる。

お父さんががんばって赤ちゃんを抱っこしたり、抑えたりする姿を見ると、こちらとしても応援したくなるが、いかんせん普段、子育てにかかわっていない男親の抱っこは下手である。赤ちゃんをうまく抑えることができず、父親の膝の上からずり落ちそうになったりする。おそらく、赤ちゃんを強く抱えることが怖いのであろう。あるいは緊張しているのかもしれない。