クリニックでは密なコミュニケーションを

患者家族としてはクリニックが混雑しているのが分かっているので、つい、簡潔に言わなければいけないと思っているのかもしれない。だがそれは誤解である。医者だってちゃんとコミュニケーションを取りたい。

困っている人がいれば助けたいのだから、どう困っているのかぜひ伝えてほしい。医者がせかせかと忙しそうにしていることにも責任があるのかもしれないが。

ただ、オープンクエスチョンに答えるのはあんがい難しいという意見を聞いたこともある。ある出版社の女性編集者とこの問題について話していたら、「今日はどうしましたか?」とオープンで聞かれると、何をどこまで深く話していいか、一瞬フリーズしてしまうのだそうだ。そう、それは確かにありうる話だろう。

では、あらかじめ伝えたいことをまとめておいたらどうだろうか。ぼく自身もときどき病院やクリニックを受診する。そのときは、やはり伝えたいことを事前に整理する。場合によっては書き出す。

そんなオーバーな……と思う読者もいるかもしれないが、クリニックで診る病気は軽症だけとは限らない。もっとお互いコミュニケーションを密にしてもいいのではないだろうか。

『開業医の正体――患者、看護師、お金のすべて』(著:松永正訓/中公新書ラクレ)